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福山大学 大学教育センター 助教 前田吉広さん

前田 吉広さん

所属
福山大学 大学教育センター
役職
助教

『今、大学はどのような若者を育成することが求められているのか?』


今、大学でキャリア教育を担当させて頂いている私は、この問いに対する答えを日々模索しています。社会環境の変化が激しく、求められる人材像も多様化する現代で、社会が若者に求める能力を定めた「社会人基礎力」は、私にとって最も役立つ指標の一つです。


福山大学ではこの「社会人基礎力」の指標を用いて、学生がインターンシップに参加する前後での変化を測る社会人基礎力診断テストを実施し、12の能力要素それぞれに対する成長度合いを計測しています。また、学生がインターンシップを通じて高めたい能力についても「社会人基礎力」の指標を用いるなど、インターンシッププログラム全体を通じて積極的に活用しています。「社会人基礎力」は、それぞれの能力要素がどのようなものか明確に定義されているため、教員が個々の学生の強みや弱みを的確に把握でき、学生一人ひとりに適した助言と対策を考えられることもメリットの一つです。また、日本国内で数多くの大学が利用している指標であり、大学や地域間における学生の特徴や傾向をなども客観的に把握することも可能です。


このように、「社会人基礎力」は本学のインターンシップにおいて、社会が求めている能力を学生に意識付け、自らの課題に気付くきっかけを提供する重要な役割を担っています。今後は、この「社会人基礎力」と本学が掲げる教育理念、地域の企業・団体の人材ニーズ、学生の特徴や傾向などについて全体的な視点からの考察を加え、強化すべき能力の優先順位付けやそれに応じたプログラム内容の改善など、本学独自の視点と基準を定め、地域産業界のニーズにより対応した若者の育成に努めます。

拓殖大学商学部 教授 長尾素子さん

長尾 素子さん

所属
拓殖大学商学部
役職
教授

私の専門は「コミュニケーション論」です。「コミュニケーション能力」をどのようにはかるのか、という問題と「社会人基礎力」の指標には共通点があるように思います。それは、明確な基準を設けることがとても難しいこと、到達点が明確でないこと、そして誰がそれを評価するのか、という点でしょうか。これらが指標を難しくしています。


たとえば、上司として、部下としてそれぞれ期待されるコミュニケーションの質は異なりますし、会社、同窓会、家庭等、場面と関係性によってかなり変化します。同様に、「社会人基礎力」もどのような場面でどのような関係性のなかで発揮されるのか、によって質が異なります。職種や企業文化によって、また、年齢や立場によっても違うでしょう。しかし、だからといって、「社会人基礎力」が身につけられないものではありません。経済産業省によって提唱された「社会人基礎力」の3つの能力と12の能力要素はとてもわかりやすく、また取り組みやすい指標となっています。従って、「コミュニケーション力」を含む「社会人基礎力」の指標をゼミ教育のなかに取り入れています。


また、評価が難しい「社会人基礎力」を自己診断できるアセスメントがいくつかあります。他者と比べて、「できている」、「できていない」、という基準ではなく、項目ごとに点数化され、自分の強みと課題がわかり、自己の成長度が理解できるよう工夫がされています。課題となっている項目を伸ばすような使い方をすれば、有効でしょう。


私が担当するゼミでは、4月に診断を受けてもらい、自分の傾向を理解します。その後、様々なプロジェクトを通じて、社会と関わる経験をします。社会人の方々からマナーや計画の詰めの甘さなどお叱りを受けることもあり、そのような経験が「社会人基礎力」を鍛えます。プロジェクトの途中で振り返りをしながら、到達度や課題の確認を行います。プロジェクトの最後に再度、診断を受け、成長した点と成長しなかった点を各自理解できるような教育プログラムを行っています。


1年を通じて、「社会人基礎力」の育成を目指したゼミ教育で学んだ学生たちは、明らかに成長します。「学生」から「社会人」へと脱皮する場に立ち会えるのは、教育者として最高の喜びと感じています。

株式会社エスキャリア 執行役員/JCDA協会認定CDA(キャリアディベロップメントアドバイザー) 城 梨沙さん

城 梨沙さん

所属
株式会社エスキャリア
役職
執行役員/JCDA協会認定CDA(キャリアディベロップメントアドバイザー)

私は現在、キャリアカウンセラー・講師として学校でのキャリアカウンセリングや、キャリアの授業を担当しております。たくさんの就職活動生を支援してくる中で、就職活動で一番学生がつまずくのが、「言われたことをきちんとやる力」から「自分で考えて動く力」を就職活動を始めたと同時に求められることです。今までの学校生活では、言われた期日にレポートや宿題を出し、決められた範囲のテスト勉強をして、ある程度決められたルールの中で、その規律を守ることを求められる環境で過ごしています。しかし、就職活動が始まった途端、答えがない問いを投げかけられ、また就職活動は決まったやり方があるわけではなく、自分に合う仕事や企業に出会うための方法も、人それぞれ違います。そして、初めましての人にいきなり自分のことを話さなければなりません。今まで社会に触れる機会が少なかった学生ほど、就職活動を始めるとこの現実に直面し、戸惑います。


学生生活の中で、いかに多様な価値観を持つ人と接し、答えのない問いや、新しい挑戦の中で、失敗したり、誰かと協力して乗り越える経験を、少しでも持っている学生と、全くもっていない学生とでは、明らかな差があるのは事実です。


昨今、社会人基礎力という言葉が、教育現場や若手社会人にも浸透し始め、入学時から卒業までに、社会人基礎力を身に着けるための授業も増えきました。


実際、私自身複数の大学で、入学1~2年生向けのキャリア系授業を担当しております。授業の中では、グループワークを基本とし、学生同士で話し合い、企業への事業提案をしたり、学園祭の企画をしたり、体験を通して社会人基礎力を身に着けていきます。初回授業で、社会人基礎力診断を行い、自分の特性、他者の特性を理解し、それぞれどんな役割を発揮したらチームとしてまとまるか、相互理解を深めます。


自身の苦手な特性も認識することで、その力が少しでもUPするよう、意図的に動くよう指示を出すこともあります。例えば、「前に踏み出す力が弱い」学生には、発表担当を勧めるなど、苦手な部分も挑戦することで、新たな発見に繋がったり、授業を通して力が改善していきます。そして、また最終事業で、社会人基礎力診断を行い、改善したポイントを知る事ができます。学生にとっても社会人基礎力が、学生生活で「成長」を感じられる一つの「指標」になり、自信をつけることで、就職活動やその後の社会人生活へも繋がります。

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